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もうバースデーケーキを倒さない!駒沢の名店「ル パティシエ タカギ」直伝の5ルールで、今日からケーキカットの達人に!

HAPPY BIRTHDAY TO YOU ♪ のバースデーソングのあとのお楽しみは、美しくおいしいケーキをいただくこと。それだけに、毎回ケーキカットは譲り合い。受けてしまったときのドキドキ感といったら。

でも、もう大丈夫!ここで紹介するプロ直伝の5ルールを守れば、拍手、喝采は間違いナシ! 教えてくれたのは「ル パティシエ タカギ」製造部長の矢野智士さん。ケーキカットの難関トップ3と言われるショートケーキ、フルーツタルト、ミルフィーユのワザを伝授していただきました。

ケーキカットに欠かせない3種の神器。

① 波刃
意外にもケーキカットに欠かせないのが、刃がギザギザの波刃包丁。「断面が波波になってしまうのでは?」と思われがちですが、クリームに入っているフルーツを刃の凹凸がしっかりと捉えてカット、柑橘などの繊維も断ち切ってくれます。普通の包丁だと刃が滑って果肉を潰しやすいそう。波刃のケーキ包丁がない場合は、パン切り包丁で代用もできます。

② パレット
カットしたケーキを取り分けたり移動させるときに使うパレット。こちらはケーキサーバーでもいい。

牛刀やカステラナイフ
タルトやパイ生地を切るときに使います。カステラナイフがベストですが、ない場合は刃先が長く薄い牛刀などで代用します。

左から、ケーキ用波刃もしくは波刃のパン切り包丁、パレット、牛刀(カステラ包丁の代用)。

ケーキカットの達人になる5ルール。

ここで紹介する5ルールはこの道、20年以上の矢野さんも日々厳守している基本の基です。難関トップ3のショートケーキフルーツタルトミルフィーユのケーキカットに共通のルールです。おさらいのつもりで、ひとつひとつの工程をていねいに行ってみてください。歓声が上がるほど、キリッと美しく切り分けられます。

ルール1
ケーキはカット直前まで冷蔵庫で冷やしておく。
生地や生クリームがかたくなり、崩れにくくなります。

ルール2
ケーキの上のデコレーションを外す。
フルーツなど、カットラインにある障害物は外すほど切りやすくなります。事前に写真を撮っておくと、カット後の再生がラクです。

ルール3 
ナイフはカット直前に温める。
刃全体をガスの火やバーナー、熱湯などで温め、手で触りチェック。やや熱いくらいが切り頃。熱すぎると生クリームなどが溶け、逆に切りにくくなります。

矢野さんはガスバーナーを使い刃を温めます。家庭ではキッチンのガスでも代用できます。

ルール4
包丁はケーキに対して斜めに入れ、抜くときは手前に引く。
刃は大きくゆっくりと前後に動かし、フルーツを切るときは小刻みに。力は入れず、包丁の重みでケーキを切るイメージです。

徐々に包丁を平行にしていきます。包丁を抜くときは、そのまま手前にスッと引きます。こうすると断面が汚れません。

ルール5
切るたびに包丁をかたく絞ったタオルで小まめに拭く。

カット面の美しさを左右する、最も大切なプロセスです。

それでは、さっそくケーキカットをはじめてみましょう!

いちごのショートケーキを6等分に切る。

写真は直径12㎝のショートケーキ。

【難関3ポイント】

① 生地が柔らかく、箱から出すのが難しい。

② 切るときに、いちごやクリームを潰してしまう。

③ お皿にのせるときに倒しやすい。

【プロ直伝の解決法】

① 箱からきれいに出すコツ。

背が高く柔らかいショートケーキの場合、箱から出すタイミングでダメージを与えてしまうことも少なくありません。箱をテーブルに置くときや開けるときは、しっかりとしている角の部分や底を持ちましょう。柔らかい側面を持つのはNG。
箱から出すときは右手でトレーの手前をつまみ、左手でテープなどで固定されていないかを確認。固定されている場合は慎重に外します。トレーを軽く浮かせ、左手を底に添え、ゆっくりと手前に引き出します。
テーブルの端を利用し、パレットを上手に入れます。トレーをテーブルの端によせ(落とさないように注意!)、縁を少し下げ、パレットをケーキの中央より奥までしっかり入れます。パレットはダメージができても目立たない後ろから入れます。
底に手を添え、カットボードやお皿の上に移動。
パレットを抜くときは牛刀で少しケーキを浮かすと側面に触れることなく、きれいに抜けます。

② いちごを潰さず切るコツ

バースデーソングで祝ったあとは、いよいよケーキカットタイム。包丁は波刃を使います。切りにくい中央のいちごを外し、包丁はケーキに対して斜めに入れます。上にのせたままのいちごは手で軽くおさえ、小刻みに刃を動かしていきます。これが、クリームの中のいちごを潰さず、きれいに切るプロのテクニック。
最後は、包丁をカットボードに対して水平に着地させます。刃をそのまま手前に引き寄せて抜くと、断面もクリームも崩れません。カットボードを回転させ、同様にしてケーキを切り分けていきます。

③ 切り分けたケーキを倒さずお皿にのせるコツ。

切り分けたケーキの底にパレットを入れ手前引き、ホールから外します。外れない場合は、側面の間に牛刀を入れ軽くおさえます。
左手でケーキの側面を軽く支えながらお皿へ移します。
パレットを抜くときは牛刀の先でケーキを軽く浮かせて引きます。

切り口はキリッとシャープ。外したいちごを等分にカットし、盛り付けて仕上げます。

ケーキを等分に切るテクニック。

等分器がない場合は、シルバーホイルでお手製のスケールを作って利用しましょう。6人分なら6角形を作り、ケーキの中心に置きます。その延長線のケーキの縁に印をつけ、ナイフでカットしていきます。どの家庭にもあるシルバーホイルですぐに作れるので、覚えておくと便利です。

楊子などで縁に記しをつけます。

フルーツタルトを4等分に切る。

写真は直径12㎝のフルーツタルト。

【難関3ポイント】

① フルーツが邪魔をして切りにくい。

② 切るときにフルーツが潰れてしまう。

③ タルト生地が崩れてボロボロになる。

【プロ直伝の解決法】

① 切りやすくするコツ。

カットラインいあるフルーツは外します。今回は最低限のフルーツしか外しませんでしたが、波刃を使うことできれいに切れました。

② フルーツを潰さず切るコツ。

フルーツ、生地、と包丁を使い分けます。フルーツやカスタードクリームを切るときは波刃。先述の通り、波刃はフルーツの繊維をきれいに断ち切り、柔らかいフルーツも潰さずに切ることができます。

温めた波刃包丁を斜めに入れ、小刻みに動かしながら、
タルト生地の上まで平行に落としていきます。

③ タルト生地をスパッと切るコツ。

温めた牛刀を、2で入れた切れ目に沿って置きます。タルト生地に対して刃は平行に。刃先を軽くおさえ包丁の重さで、まっすぐ下に落とします。ストンという音とともに、美しい断面が誕生。刃は生地の側面をおさえながら手前に引き抜きます。カットボードを回転させ、同様の手順で4等分に切ります。
包丁の二刀使いで、フルーツもタルト生地の断面も美しい。

ミルフィーユを4ピースに切る。

今回のミルフィーユは3枚のパイ生地の間にいちご入りの生クリームを2段挟んだタイプ。これを波刃を使い、切り分けます。薄いと倒れやすいので、厚めに切ってからサイズ調整をしましょう。

写真は約10㎝×18㎝×5㎝のミルフィーユ。

【難関3ポイント】

1美しさの決め手となる表面(1枚目)のパイ生地がうまく切れない。

2中のクリームやパイ生地が切るごとにズレてくる。

3とにかくパイ生地が最後までうまく切れない!

【プロ直伝の解決法】

1包丁使いのコツ。

温めた包丁をミルフィーユに対して平行に入れ、刃を小刻みに前後に動かしながら一枚目のパイ生地をカット。刃を奥に押し出すように意識するとまっすぐ切れます。一度、手前から包丁を抜き取ります。

2クリームの中のいちごカットのコツ。

温めた包丁を斜めに入れ、ミルフィーユがずれないように奥の側面を手かパレットで抑えます。包丁をやや大きく動かしながらカットしていきます。
2枚目のパイ生地のあたりで、一度包丁を水平にします。

3パイ生地を最後まで崩さず切るコツ。

2枚目、3枚目のパイ生地は一度に押し切ります。平行にした包丁の刃を奥に押し出し、手前に引きながら、ストンと押し切ります。
1ピースが大きい場合は、さらに半分に。この切り方だと安定するので、倒れません。

お話しを聞いた人・矢野智士さん

「ル パティシエ タカギ」製造部長

2007年に「ル パティシエ タカギ」に入社。この道22年のベテラン。ケーキカットは、ご自身も2年目までは失敗も多かったそう。今回、こもれび取材班に懇切丁寧にカーキカット術を教えてくださいました。一同すっかり、コツをおさえた気になり、次回のバーズデーパーティが楽しみになりました。

駒沢で24年目を迎える老舗パティスリー「ル パティシエ タカギ」。パークサイドで本場の濃厚スイーツが楽しめます。

駒沢の街にパリの佇まいを感じさせる「ル パティシエ タカギ」は、2019年11月にサロンを併設し、駒沢公園西口に移転しリニューアルオープンしました。黄色い壁とマドレーヌのアイコンがシンボリックな本店は、お城にお客様を招いてもてなすようなイメージ、という高木康政シェフの思いが込められています。黄色い壁に描かれているオペラ座やマドレーヌ寺院は、シェフの修行時代の思い出の場所。天井にはマドレーヌの抜き型が飾られ、店内の至るところにお菓子作りに対する高木シェフの愛情が散りばめられています。

店内はパリのサロンのような落ち着いた雰囲気。
天井を見上げると、たくさんのマドレーヌ型が!

高木シェフは10歳のときに母に内緒でマドレーヌを焼き、これがきっかけで菓子職人の道へと進みます。フランス、ベルギー、ルクセンブルグの有名店で4年間修行をし、1992年に権威あるコンクール「ガストロノミック・アルパジョン」で日本人最年少で優勝。凱旋帰国を果たし、2000年に東京・駒沢に「ル パティシエ タカギ」をオープン。濃厚で奥深い味わいの本場のデザートを日本人に楽しんでもらいたい、そうした思いで作るケーキは瞬く間に話題を集めました。

今では親子3代で訪ねるお客様も増え、駒沢の地にしっかりと根付いた地元を代表するパティスリーに。駒沢公園に隣接する現在のサロンはテラス席もあり、モーニングやランチも楽しめます。今の季節は、毎年人気の桃丸ごとのパルフェや、旬のフルーツを使ったかき氷、ガレットなどをお目当てに訪れる人も多いそう。

. 待ちに待った桃の季節がやってきました🍑。 ル パティシエ タカギ本店では、 毎年ご好評とお問い合わせをいただいております 桃のパルフェが装いを新たに再登場いたします🍑。 【桃のパルフェ】 旬の甘くみずみずしい桃を まるごと1玉のせた贅沢パフェ。 柔らかな桃を丁寧に剥き、種をくりぬいた中には こだわりのクレーム パティシエール(カスタードクリーム)をたっぷりと詰めました。 丁寧に仕上げた桃の下には、 白桃の自家製ソルベと乳の香り豊かなクレーム シャンティ(生クリーム)。 香ばしくカリっとした食感がアクセントのアーモンド プラランとしっとりとしたビスキュイを重ね、 華やかな彩りの赤桃のソースと白桃の自家製ジュレを合わせました。 赤桃のソースと白桃の自家製ジュレは桃の味わいを凝縮させたフルーティな味わい。 シャーベット状に仕立てて冷たく爽やかに味わえます。 フレッシュな甘い桃の香りとジューシーな果肉、 白桃のみずみずしい甘さ、 赤桃の濃厚な味わいと香り、 “桃”を存分にご堪能ください。 桃のパルフェは、 ただいま期間限定での販売。 ※8月中旬までの販売を予定しておりますが、 それ以降の販売につきましては、 桃の入荷状況により変更となる場合がございます。 【桃のパルフェ】は、 ル パティシエ タカギ本店カフェにて、 7月1日(月)から毎日14時よりご注文いただけます。 ■ル パティシエ タカギ 本店 サロン営業時間 10:00~19:00 (L.O. 18:00) モーニングタイム 10:00~11:30 ランチタイム 11:30~14:00 ティータイム 14:00~19:00 旬の桃を使った短い販売期間のパフェとなりますので、 ぜひこの時期にお召し上がりください。 皆様のご来店、スタッフ一同心より お待ち申し上げております。 #lepatissiertakagi #ルパティシエタカギ #le_patissier_takagi #パティスリータカギ #高木康政 #パティシエ #ガトー #ケーキ #デザート #スイーツ #ランチ #カフェ #東京カフェ #世田谷カフェ #駒沢カフェ #駒沢公園 #ペット同伴可 #ペット可カフェ #カフェ巡り #パフェ巡り #パフェ #パフェ活 #パフェ部 #季節のパフェ #桃 #桃パフェ #桃スイーツ #もも #ももパフェ #ももスイーツ
旬の桃を丸ごと1玉のせた贅沢なパルフェ(8月中旬までの期間限定)。桃のみずみずしいおいしさと香りを堪能できます。14時からオーダー可。

パークサイドという立地を活かし、散歩の途中に公園で楽しめるテイクアウトメニューも充実。わんちゃんのためのワンワンバースデーケーキも好評です。

「ル パティシエ タカギ 本店」 ブティック10:00~19:30 サロン10:00~19:00 (L.O.18:00) 定休日毎週水曜日(夏は隔週木曜日も定休。詳細はインスタでご確認ください。@le_patissier_takagi) 東京都世田谷区駒沢公園1-1 Tote駒沢公園 1階 (駒沢公園西口となり)TEL 03-6453-2858 
https://lplctakagi.jp/

photographer:Ikue Takizawa Text:Keiko Takahashi

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