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救急車を呼ぶか迷ったら#7119へ電話! 救急車のあれこれを玉川消防署・救急隊員の杉本さんに聞きました!いざという時のために。

毎年、暑さが増していく日本の夏。東京でも気温が40℃に迫る暑い日が続きました。そんな時に気をつけたいのが熱中症です。8月も終わりに差し掛かり、本格的な暑さは過ぎ去りましたが、湿度の高い昨今は、まだまだ油断禁物。

もし、家や外にいるときに熱中症などによって体調が悪くなったら、すぐに救急車を呼んだほうがでしょうか? 救急車の出場率の高さが取り沙汰されるなか、救急車を呼ぶのにも少し勇気が必要です。どんな時に救急車を呼ぶべきか。熱中症対策として何を意識すれば良いのか。駒沢エリアを管轄する玉川消防署の救急隊員である、杉本さんにお話を聞いてみました!

お話しを聞いた人・杉本さん

救急隊員歴10年。玉川消防署に勤めています。

救急車を呼ぶべきときは?

Q.熱中症になったとき、もしくはなった人がいれば、救急車を呼ぶべきでしょうか?

もし外で倒れている人を見かけたら、まずは呼びかけて意識があるかどうかを確かめてください。反応がない場合は切迫した状況なので、すぐに119番に通報して救急車を呼んでください。

熱中症に関する症状にはめまい、吐き気、頭痛、痺れといった初期症状が起こります。さらに重症化すると物事が考えられなくなる意識障害や痙攣が起こります。

もし自分にめまいや吐き気など、熱中症の症状が現れた場合は、水分と塩分を摂取をしてください。症状が改善するようであればそのまま様子をみてよいですが、症状の改善が認められない場合は医療機関の受診を検討してください。

Q.病院を受診すべきか自分で判断できない場合は、どうすればいいですか?

まずは#7119に電話をかけてください。救急相談センター窓口に繋がる番号です。電話口で症状を相談していただくと、救急要請が必要かどうかの判断や、医療機関情報の案内を受けることができます。

さらにインターネットで緊急度をチェックできる救急受診ガイドもあるので、こちらもぜひご活用ください。

救急受診ガイドでは、緊急度を色別に教えてくれます。

Q.救急車は1日にどれくらい出場しているんですか?

私たち救急隊員は、基本的に朝8時半から翌日の朝8時40分まで丸一日働いているのですが、その中で大体1日10件くらい出場しています。令和5年中だと東京都内だけで91万8千件ほど出場していて、年々右肩上がりに増加しています。

【救急memo】救急車の出場状況がわかる!

救急車がどれくらい出場中なのかを確認できるのが、救急車ひっ迫アラートです。ひっ迫している状況では救急車を本当に必要としている人に届けることが大切になってきます。救急車を呼ぶか迷った時は、#7119や救急受診ガイドを活用しましょう!

熱中症予防のためにできること

Q.手軽にできる熱中症対策について教えてください。

水分と塩分をこまめに取ることが重要です。手軽に取り入れられるのはスポーツドリンクですね。1日外出するなど屋外に長時間いることが分かっている場合は、あらかじめ用意して、こまめに水分摂取することがいちばんの予防策です。あとは屋外では帽子や日傘を使うと、体感温度を下げることができますよ。

Q.家の中でも熱中症の危険性はありますか?

実は屋外と同じくらい、家の中でも熱中症が起こっています。昔と比べると気温もだいぶ上がったので、家の中での対策も必要です。暑さを感じたら冷房や扇風機をつけたり、ブラインドで日差しを遮断したりして、過ごしやすい環境を整えるのが大切ですね。

環境省や東京都の冷房設定温度から、いまの夏の環境だと、外気温や室温が28℃を超えたら冷房をつけた方がいいかもしれません。あとは寝ている間にもかなり汗をかいているので、起床時の水分補給もお忘れなく。

Q.「こまめ」の基準があれば教えてください。

お仕事で休憩を取れる時間は人それぞれだと思うので、水分を摂れる時に摂っていただくのがいいですね。私たち救急隊も現場に出るといつ摂れるかわからないので、救急車の出動前に自分たちで声を掛け合って水分を摂っています。

杉本さんをはじめとした救急隊の皆さんも、夏の間は汗のかく量も多いので、1日に500mlのペットボトルを5本以上は消費しているんだとか!

【救急memo】救急車は消防署にいない⁉︎

出動件数が年々右肩あがりで増加している救急車は、24時間いつも街中と病院を行ったりきたりして稼働しています。

いざ、救急車を呼んだときのこと

Q.倒れている人を見つけて救急車を呼んだあとに、待つ時間に応急処置などできることはありますか?

かなり汗をかいていたり暑い中で活動していたりと、熱中症が予測される場合は、できれば日陰などの涼しい場所に移動をお願いします。日向で冷却などの処置を行ってもあまり効果がないからです。

それから氷が手に入りそうだったら、大きい血管が通ってる脇の下や太ももの付け根を冷却していただくと良いです。最近はコンビニでも凍ったペットボトルが販売されているので、それを活用するのもいいでしょう。

Q.水分補給はしなくても良いですか?

もし飲める状態であれば、徐々にゆっくり摂っていただくと良いです。反応がない状態で水を口から入れてしまうと、誤嚥(ごえん)してしまう可能性があるので、その場合は涼しい場所で冷却等の処置をして救急隊の到着を待ってください。

もう全く反応も意識もない状況であれば、気道を開通させる回復体位にしていただくと、もし吐いてしまった場合でも誤嚥を防ぐことができます。119番通報した時に、患者さんの意識状態によっては災害救急情報センターが回復体位や胸骨圧迫などの口頭指導も行っています。

このポーズが回復体位。覚えておくと、いざというときに役立ちます。

【救急memo】映像での口頭指導を受けられる「Live119」

119番通報を受ける東京消防庁の災害救急情報センターでは、倒れている人の状況を正確に把握して口頭指導ができるように、映像でやりとりできるLive119を導入しています。意識がない状況の場合は、災害救急情報センターから携帯にURLからショートメールが送られ、URLにアクセスすると携帯で撮った映像を災害救急情報センターがライブで確認し口頭指導を受けられます。

Q.もしも広い駒沢公園で救急車を呼ぶ場合は、場所をどういうふうに伝えればいいですか?

まず公園関係者(公園の見回りをしている人など)が近くにいるのであれば「救急車を呼んでください」と、依頼してほしいです。駒沢公園への救急車の出場はめずらしくないので、公園関係者も依頼されることに慣れています。何より駒沢公園について詳しいですし、急病人のいる場所まで自転車で誘導してくれます。

もしも公園関係者が見つからない場合や、夜中の時間帯などの場合は、トイレや野球場などの目標物を伝えてください。最終的に救急隊から通報者に電話して、より詳細な情報を伺って現場に向かいます。

救急車を取り巻く状況について、知らないことがたくさんありました。今回は玉川消防署の杉本さんにお伺いしましたが、東京消防庁公式アプリでは、救急車ひっ迫アラートやよくあるQ&Aなど、困った時に知りたい情報が詰まっています。いざという時の備えとして、ぜひこちらからダウンロードしてみてください!

9月も28℃を超える日があることでしょう。気温と自分の体調を気にしながら、できるだけ快適に過ごしていきましょう!

Text:Lee Senmi

KOMAZAWA
COMOREVI
PROJECT_.
駒沢こもれびプロジェクト