こもれび・イベントレポート

「ペット防災」愛犬を守る飼い主さんのための講座<知っておきたい準備と心構え>

「犬と人の幸せを求める」 One for Wan と 駒沢こもれびプロジェクト の共催で「ペットの防災」をテーマにしたイベントを開催しました。講師はドッグトレーナーの里見潤さん。地震や台風などの災害時に愛犬を守るための備えや行動について、24人の愛犬家のみなさんと学びました。*3日後の日曜日は駒沢オリンピック公園で愛犬と共に実習が行われました。

ペット同行避難の基本

この日の講座は、里見さんが東日本大震災後、立ち入り禁止区域に指定される前の宮城県南相馬市で行った動物の捕獲・保護活動を通じて感じたことからお話がはじまりました。「災害時には人も犬も不安を感じます。普段とは異なる場所で、限られたスペースでなど、どんな状況になるか予測できません。つい私たちは『犬がかわいそう』と思ってトレーニングを後回しにしてしまうことはないでしょうか」。

里見さんの愛犬。活発で積極的な「信乃」(左)と恥ずかしがり屋の「のりすけ」(右)にデモンストレーションを手伝ってもらいながら、講座は進行!

日頃のトレーニングが愛犬の防災対策につなが

いざという時に愛犬が落ち着いて避難できるよう、日頃のトレーニングが大切です。特に、キャリーケースやクレートに慣れさせる練習をしておくと、避難時のストレスが軽減されるといいます。また、避難所でのルールを守るために「待て」「おすわり」などの基本指示をしっかり覚えさせておくことも重要です。

3つの基本トレーニング

▶︎ハウストレーニング

避難生活では人も犬もストレスを減らし、安全に過ごせる環境が必要です。普段からクレートやキャリーに慣れておくと安心です。

▶︎靴トレーニング

災害時は足場が悪く、愛犬の怪我のリスクが高まります。靴を履いて歩けるようにしておきましょう。靴が脱げる時は、靴の内側に粘着包帯を巻いて調整するのがおすすめ。 

▶︎マットトレーニング

避難生活が長くなった場合に役立つトレーニングです。クレートやキャリーの他に、マットで落ちつけるようになると、飼い主も犬も避難所にいる人たちもストレスが軽減されます。

靴を履いた信乃。

トレーニングは「終わり」を決めることが大切

トレーニングでは飼い主が「終わり」の合図を出すことが重要です。途中で犬が動いてしまうこと自体は問題ではありませんが、犬が勝手に終わりを決めてしまうのは避けましょう。「オッケー」などの合図を決めて、飼い主がトレーニングの終わりを示す習慣が大切です。災害時に愛犬が混乱せず、飼い主の出した合図に従うようになるためにも役立ちます。

里見ドックトレーナーと指示に注目する信乃。
トレーニングの後はごほうびも大事。
ペット防災カレンダー(制作:人と動物の共生センター・監修:奥田順之獣医師)
受付のOne  for Wan スタッフさん

実践講座:駒沢オリンピック公園でのトレーニング

1月26日には、駒沢オリンピック公園で同講座の実習が行われました。
講師は西岡ドッグトレーナー里見ドッグトレーナー。集合場所には、20名の飼い主さんが愛犬を連れて集まりました。

まず、飼い主と犬が1列になり、散歩の練習。先頭はトレーニング経験のある先輩犬、続いてトレーニング経験の少ない犬たちが続きます。最初はバラバラに歩いていた犬たちも、次第に一体感が生まれてきました。

みんな落ち着いて1列になってお散歩。

西岡さんは、「たくさんの人や犬がいる環境で歩く経験や、アスファルトだけでなく、土や落葉の上などさまざまな場所を歩く練習が重要」と話します。

呼び戻しの練習をしてみましょう

次に、災害時に思わず愛犬と離れてしまったときのために、呼び戻しの練習をしました。

犬の「呼び戻し」の練習とは、飼い主が名前を呼んだり合図を出したときに、犬がすぐに戻ってくるようにするトレーニング。少しずつ離れる距離を伸ばしたり、飼い主さんが見えなくなっても伏せをして待つ練習をくり返します。練習の時、よくできた場合にしっかり犬を褒め、楽しい経験として覚えさせることが大切です。

呼び戻しのデモンストレーション

はじめてのハウスに入る練習

最後はハウストレーニング。ほとんどの犬が、普段使っているものとは違うハウスに入るのは初めてとのこと。最初は様子をうかがっていた犬たちも、トレーナーのアドバイスを受けながら少しずつ挑戦し、参加した全員がハウスに入ることができました!

ハウストレーニング全員クリア♪

「明るいペット防災」を目指して

最後に、One for Wan 代表の齊郷さん「もし今、地震が発生したらどうしますか?」と問いかけました。「備えると身構えず、日々意識することを心がけてください。その積み重ねが、いざという時に大きな力になります。犬を飼っている方も、飼っていない方も、お互いに思いやりを持つことが大切ですね」齊郷さんの温かい言葉で、この日の実習が終わりとなりました。

このペット防災講座は「せたがや動物とともにいきるまちづくり補助金事業」として行われました】

ペット防災は、日々の意識と準備が大切!
災害時に愛犬を守るために、日頃から意識を。トレーニングを習慣にしていきましょう!

ドッグトレーナープロフィール

里見潤

2006年日本訓練士学校卒業後、出張ドッグトレーニング会社に入社。家庭犬の出張トレーニング業務を行いながら、保護団体「ドッグシェルター」のスタッフを兼任。2008年「ドッグシェルター」に専任ドッグトレーナーとして入社。動物愛護センターに収容されている保護犬を引き出し、自宅にて初期トレーニングを実施し預かりボランティアへ。譲渡後に里親のフォローを行う。2012年独立。出張トレーニングを柱としながら、現在も保護団体と協力連携している。NPO法人「キドックス」理事。都内複数区にて犬の飼い方講習やOneforWanお散歩教習所の講師などを務めている。

ドッグスクール One plus

西岡 裕記

専門学校(青山ケンネルカレッジ)を卒業し, 様々な警察犬訓練所やショップ・ブリーダーの元でトレーナーとして修行した後、トリマーやショップの店舗管理をしたり、様々な形で動物業界に携わる。
その後独立し、フリーのドッグトレーナーとして活動。様々なショップで定期的にクラスを持ち、動物病院やトリミングサロンなどからの紹介などで、その実力が口込みで広がっていく。
また、犬服ブランドやCM、映画の撮影コーディネートや、出演犬トレーニングなど、活動は多岐にわたる。
Dog works ZERO


KOMAZAWA
COMOREVI
PROJECT_.
駒沢こもれびプロジェクト