平日に親子で過ごせる「おでかけひろばCIRCUS(サーカス)」。子育てしやすいまち・駒沢で見つけた、あたたかい居場所【未就学児対象】
- こもれび記者
- キッズ

春の風物詩・駒沢オリンピック公園の桜たち。実は、その多くが1964年の東京五輪を機に植えられた高齢樹です。寿命を迎えつつある今、園内で見られる個性豊かな品種、さらには桜と共に過ごすためのマナーについて、公園スタッフ・治村さんにお話を聞いてみました
Q4. 駒沢オリンピック公園には何種類の桜が植えられてるんですか?
公園内には野生種1種類、園芸品種7種類の合計8種類の桜があります。野生種はオオシマザクラ(大島桜)で、園芸種は染井吉野(ソメイヨシノ)、八重紅枝垂(ヤエベニシダレ)、天の川、鬱金(ウコン)、御衣黄(ギョイコウ)、苔清水(コケシミズ)、十月桜です。
Q5. どれも名前に特徴がありますね!
はい、園芸品種の多くは江戸時代の園芸ブームにルーツを持つものが多いんです。園芸種は観賞用に品種改良されたものだったので、〇〇1号という機械的なものではなく、より詩的な表現で、名前も”魅せる”工夫がされました。
花の色が黄色や黄緑のウコンやギョイコウなどは公園内で特に人気が高く、この時期は開花についての問い合わせが一番多くなります。
Q6. 桜をみるおすすめの場所はありますか?
公園西口から駅最寄り口にかけては多くの園芸種が並んでいるので、散歩をしながらのお花見に適していると思います。おすすめは補助競技場の横にある大島桜。白くて綺麗な花が魅力的です。野球場付近に植えられている染井吉野は、外周部分で意外と穴場スポットです。
Q7. 公園内でお花見が増える時期ですが、注意すべきマナーはありますか?
そうですね、木に水分を与えることです。
Q8. え、桜に水をあげちゃダメなんですか?!
水といっても氷水や清涼飲料水、アルコール、経口補水液などです。これらは桜の木からすると刺激が強すぎるため、桜が弱る原因となってしまいます。人間と同じで、桜も冷たい水を足元にかけられるのは苦手なんです。
Q9. なるほど、木の視点に立つことが大事そうですね。
桜も同じ“生き物”として接してもらえたら嬉しいです。お花見の時期はレジャーシートなどを敷くと思いますが、根っこを踏まないようにする優しさが大事です。お伝えしたように、公園内の桜は高齢です。お花見のときは“おじいちゃんやおばあちゃんの膝の上に座っている”くらいの気持ちで、やさしく接してあげてください。
Q10. ルールについて、他にお伝えしたいことはありますか?
A. 桜花期はお花見を見据えて、臨時でゴミ箱を増設しています(現在は撤去済)。通常時含め、ゴミは必ずゴミ箱に入れてください!
Q. 治村さんは桜についてとても詳しいですが、どのように勉強されたんですか?
これまで複数の公園や庭園で働いてきたこともありますが、毎月、大学のOBと樹木の勉強会を開催してました。登山が趣味なので、山に登ったときは必ず植物の写真を撮るようにしています。また、多摩森林科学園には日本有数の木の標本があるので、毎年勉強がてら立ち寄っています。
Q. 植物に興味を持ち始めたきっかけはなんですか?
元々は祖母が植物好きだったんです。畑の手入れがてら、雑草の名前をとにかく教えてくれて。名前の語源も説明してくれて、3〜4歳だった自分にとっては、それがすごく楽しくて。その後、大阪で「国際花と緑の博覧会」が開催された時に水生栽培の植物に感動して、その時、植物に関わる仕事がしたいと思いました。
Q. 最後に、好きな桜の種類はなんですか?
たくさんありますが、公園内ならオオシマザクラが好きです。葉っぱと花が同時に咲くので見応えがあり、また香り高いので五感でサクラを感じることができます。
公園に無いものも含めると、白妙(シロタエ)がとても好きです。白い八重咲で、桜っぽく無いというんでしょうか、ふわっと丸っこい形でフリルみたいな可愛らしさがあるんです。他にも香水に使用されるくらい香り高い品種の駿河台匂(スルガダイニオイ)や萼が緑色の緑萼桜(リョクガクザクラ)が好きです。基本的に白い桜が好みなんです
インタビュー当時は駒沢オリンピック公園管理事務所に勤務。東京農業大学造園科学科を卒業。(公財)東京都公園協会に所属し、都内各地の公園・庭園管理に携わってきた。植物の知識の深さは折り紙付きで、現在も樹木の勉強は欠かさない。趣味はハイキングと写真撮影。自然の中で過ごす時間を何より大切にしており、休日には山で出会った植物の写真を撮りためるのが楽しみのひとつ。2025年4月からは光が丘公園に勤務。
Q1. 駒沢オリンピック公園のサクラはいつ頃植えられたんですか?
1964年のオリンピック開催にあわせて植えられたと聞いています。種類にもよりますが、桜の代表格であるソメイヨシノの寿命はおよそ60年なので、まさに植え替え時期なんです。ただ植え替えの計画はまだ定まっていなくて…。
Q2. 今まさに寿命を迎えつつあるんですね!最終的には枯れちゃうんですか?
そうなんです。でも、枯れる前にはいくつかサインがあります。たとえば、花の数が徐々に減ってきたり、枝が折れやすくなったり。さらに、キノコが生えるようになることもあります。キノコの種類によっては中が腐っているサインなので、倒木の危険があり、やむを得ず伐採することになります。これらの合図は、木が「弱っているよ」と主張してくれているんです。
Q3. どうして植え替えが進まないんですか?
それにはいくつか理由があります。まず、根っこの問題です。木を切り倒すこと自体はそこまで難しくありませんが、張り巡らされた根っこを取り除くには時間と労力が必要です。そのため、駒沢オリンピック公園で新しく桜を植える場合、切り倒された木のエリアからずらさなければならず、場所確保と根の掃除どちらの理由からも進みづらくなっています。
駒沢オリンピック公園内に点在するアマノガワ、ギョイコウ、ウコンといった品種は、地元のガールスカウトが記念植樹したものです。